治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


私を見上げる片目が笑って細められる。肩をすぼめてしまう眼差しは、ああ、いや、今はそんなの気にしている場合じゃない。


やり遂げろ、なしてみせる。


怪我がある以上、私に治せない傷はないのだから。


治れ治れと何度も思い、強く祈った。


「ほほ、上手い、上手い」


左肩の切り目から繋がっていく、まだ足りない。徐々に、経路を守って、まだ足らない。外側を繋げて、零れた内側(内臓)も再生し、もっと欲しい。


「ユリウス、君は……」


「無粋ぞ、シブリール。ユーリは今、余に全神経を使っておる。そなたではなく、余にな」


溢れ出た血液を戻す。すべてを戻すには時間がかかる。生命維持に最低限でいい、傷口が空いたままでは血はまた溢れ、先に塞いでしまっては血が居場所をなくしてしまう。


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