治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


「黙っていろ、ババア。不愉快だ」


「真実をあてられ、憤っておるのだろうに。そなたは、ユーリにだけ優しいと言ったが、ユーリは余にも優しく、こうして傷ついているのが余でなくとも助けたであろう。

優しさとは、とてもいいスキルかと思わんかえ?」


「その優しさを利用する奴が俺は嫌いだ。殺したい。良かったな、ラグナロク。彼女が出した結果であなたが治ったんでないなら、俺はとっくにころしている」


「相変わらずの減らず口だ。そなたとの会話は面白いぞ。――ああ、ユーリ。ご苦労だったな」


スタートからゴールまでたどり着く。

見た目に関しては傷はどこにもついてないが、中が心配だ。まだもう少し、念入りに。


「ユリウス、ストップ。それ以上やったら倒れるよ」


彼に抱えられた。

いきなりのことで呆気にとられていれば、彼が私を抱き上げて、立たせたんだとこんなことに気づく。


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