治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


村から森にいて、この砂利道を進むというなら、彼らは間違いなく私の診療所に来ようとしていたのだろう。


朝からずっと来ないかと思えば、今になって大勢が来るわけが分からない状況。


ハテナを浮かべる私の前に、しわがれた笑い声がした。


「これから、行こうと、思ってたんじゃが、ユーリちゃんに、プレゼントが、あるんだよ」


村の代表者たる村長が説明をかって出た。


ゆっくりと途切れ途切れの話し方で、白いヒゲをいじりながら村長はそんなことを言う。


「プレゼント……?」


「ああ、そうだよ。わしら、いっつも、ユーリちゃん、に、お世話に、なって。なぁんにも、お返し、してなかった」


「いや、お返しだなんて。いつも、食料とか……衣食住の面倒は見てくれているじゃないですか」



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