治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
「な、邪魔をしないで下さいっ」
「したくもなる。君は本来、魔力の貯蔵庫さえ持ち合わせていない半人前だ。小さな治療ならともかく、こんな大掛かりなことをやっては卒倒する。
もう充分だ。ババアが自力で治せる傷なんだから、君が無理する必要はない」
言って、彼は袖で、私の額を拭いた。
汗をかいていたのに気付く。自分の体とよくよく向き合ってみれば――ああ、確かにだるくなっていた。
それでも、と私はラグナロク様に向き直るわけだが。
「ユーリがやったことは無意味ではない。早く復元できたにおいては、良い結果だ。零れた血液、両断された臓器の機能回復。
ああ、申し分ない。明日にはまた普段通りでいられようぞ」
大丈夫だと言いながら、ラグナロク様が肘をついて体を起こす。
怪我があるんだから起き上がらない方がいい――という前に。