治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
ハラリ。
そんな音がつきそうなぐらい、それこそ、枝にある葉がふわふわ落ちた感じで。
ラグナロク様の服が、はだけた。
「ちょっ、シブリールさんなに見てんですかっ!」
慌てて、ラグナロク様を見ていた彼の視線を別方向に向ける。
彼の頬に両手を置き、顔ごと、いや首ごと百八十度回転させるつもりで回した。
ぐきり、とか音がしても気にしない。きっと気のせいだから。
「ゆ、ユリウス……、く、首はやめてくれないか……、名残というか、残留というか、軽くトラウマになるぐらいの傷をつけたばかりで、いたみ、が……」
「無傷な方が何を言っていますかっ。シブリールさんはどこも怪我していませんよ」
私が触っている首は綺麗なものだった。ただ、やけに血がついた服に、脇部分が破けてたりとする程度の変化。
ラグナロク様の返り血でも浴びたんだろう、これは。こんな綺麗な人相手に容赦ない人だ。