治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


いっておいで。


優しいしわがれた声に続いて、その場にいたみんなが“同じ気持ち”だった。


“いってらっしゃい”


笑顔で送り出してくれる優しい人たち。


涙が出てきた。
私なんかのためにこんな準備をしてくれて。


頭を何度も下げる。

ありがとうの後、私がみんなに言うセリフは決まっていた。


「いってきます……!」


元気よく、みんなに応えるように同じ笑顔で。


笑っているのに泣いてしまう可笑しな顔。


後ろにいたシブリールさんが良かったね、と私の涙を拭ってくれる。


「シブリール、さん。ユーリちゃん、任せ、ましたよ」


「はい。ユリウスは俺が必ず守ります」


「わしらも、あんさんがついときゃ、安心よ。――ユーリちゃん」


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