治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
改まったように私の名を呼ぶ村長。
顔をあげて、また私が行ってきますと。
「新婚旅行、楽しんでおいで」
「…………………、はい?」
口から出たのは、というか今現在、私の頭の中は真っ白になりつつあった。
「やあねえ、村長。まだ結婚式あげてないじゃないの。婚前旅行よ」
「そう、かい。じゃあ、ユーリちゃん、婚前旅行、楽しんで、おいでな」
「………え、……はい?」
言い直されても何がなんだか分からなかった。
いや、意味を理解したくないのかもしれない。
こんな、みんなが私の願いを叶えようと広い世界に行けと感動を呼ぶシーンが。
「皆さん、俺たちの蜜月(ハネムーン)をお祝いしてくれるのですね!」
私の横で叫んだ変態により、私の中だけで感動シーンが崩壊した。