治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
ぼとん、と渡された皮袋を落とす。
放心状態。頭だけでなく、体まで真っ白になった感じがして。
「皆さんの期待を裏切らないように、楽しんできますから、俺たち。世界を巡り、やがてはこの村に帰って、そこからはのどかな診療所生活を“夫婦”として送ります!」
「待っちょるよ。帰って、きたら、結婚式、しようない」
「あんたを見込んで、私たちの娘を任せるんだ。最高の旅行にするんだよっ」
「無論です!俺はユリウスを愛し、幸せにするために生まれてきたのですから。旅行から帰ってくる俺たちの手には、きっと、皆さんの可愛い孫――がっ」
「どうしてこうなるんですかっっ!」
今ある気持ちを拳代えて、変態の頭に振り下ろした。