治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
今、私が来ているのもゴシックロリータ。
黒が基調で、白いフリルと薔薇で飾られている。
私に合わせてか、抑え目の服はなんとか普段着にも見えそうだけど。
「今からでも、着替えを取りに……」
「お別れの挨拶した後に戻るのか」
「う……、でも、私にこんな可愛い服は」
「似合っているよ、すっごく。というか、ユリウスは何着ても似合う。ユリウスだからね」
「意味が分かりそうで分からないことを言わないで下さいよ。それに、シブリールさんだってそんな格好嫌じゃないですか?」
ちらりと横目で、黒ずくめの人を見る。
ゼルさん、私だけでなく、彼のも用意したらしい。
婚前旅行に相応しい正装だと、タキシード……なら、まだ良かったのか。