治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


「俺は気に入っているよ。なんだか、ユリウスとお揃いみたいで」


お揃いとは、彼がひらひらを着ているわけじゃなくて系統についてだろう。


黒い、燕尾服。
タキシードではなく、こちらの正装を選ぶとは……ゼルさん、何の影響を受けたのか。


「俺は似合う?」


腕を軽くあげて、どう?と聞く彼。


そう何気ない感じで聞くのは卑怯だと思った。


似合う。心の中だからこそ言えること。


長身で細身。藍色の髪が黒と同系色だからよくマッチしている。


顔だけなら爽やかなのだから、普通に立っているだけで通りがかりの人からお金が貰えそうだ。


「……、まあまあです」


「顔に惚れ直したと書いてあるよ」


「微塵たりとも思ってないことを言わないで下さい」


「じゃあ、俺とお揃いで嬉しいと書いてある」


「書き直した内容も思っていませんからね」


< 45 / 411 >

この作品をシェア

pagetop