治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
「でも、こんなにっ」
物価からすれば、これだけあれば半年は持つ。
しかして、これを稼ぐとなれば同じほどの苦労が。
「ユリウス、これは村のみんなが、君のためだけに用意したお金だ」
どうしようと考える頭を彼は撫でてきた。
諭すような眼差しと口調で、さながら村人の気持ちを代弁するかのような感じだ。
「受け取って使いなよ。それが、あの人たちにとっての最高の孝行なんだから。返されたりしたら、それこそ、村長さんたちが悲しむよ。
あの人たちの優しさは君がよく分かっているはずだし。返したら“そうなる”ともよく知っているだろう」
「………」
手にあるお金を大切に抱える。
彼が言うことが全部本当だから。
使わなきゃいけないお金なんだ、これは。
私が色んな場所にいくためにみんなが用意してくれたお金。