治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


大切にまた皮袋の中に入れた。


「このお金は使います。でも、村に帰る時は同じ金額のお金を稼いで渡します」


「うん、ユリウスらしい。それならまあ、みんなの想いは挫いてないな」



笑っている彼。
おかしなことだろうと私だって思うけど、この方法以外で二つの想いを挫かないすべはないんだ。


後はこのお金を使い、目一杯楽しむこと。


よしっ、と地図を広げて前へと進む。


隣り合って彼もついてくるわけだが。


「北に向かっているようだけど……。ああ、夜空の虹が見たいのか」


「それは……。え、と……また今度で、今はあなたと離れる手がかり探しです」


行きたい気持ちを抑えて、地図の北にある街を指で差した。


< 48 / 411 >

この作品をシェア

pagetop