治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
大切にまた皮袋の中に入れた。
「このお金は使います。でも、村に帰る時は同じ金額のお金を稼いで渡します」
「うん、ユリウスらしい。それならまあ、みんなの想いは挫いてないな」
笑っている彼。
おかしなことだろうと私だって思うけど、この方法以外で二つの想いを挫かないすべはないんだ。
後はこのお金を使い、目一杯楽しむこと。
よしっ、と地図を広げて前へと進む。
隣り合って彼もついてくるわけだが。
「北に向かっているようだけど……。ああ、夜空の虹が見たいのか」
「それは……。え、と……また今度で、今はあなたと離れる手がかり探しです」
行きたい気持ちを抑えて、地図の北にある街を指で差した。