治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
「ここから近い、大きな街――ぐ、グリふぅぇ」
「グリフェンドール。綴り面倒な街らしく、規律も厳しいインテリな街だよ。貴族が統一する、金と宝石の街だ」
「へえ。シブリールさん、行ったことがあるんですか」
「逆に行ったことがない場所がないかな。この大陸で、の話だけど。
でも、グリフェンドールまで少し距離があるよ。遠回りにでもなっていいから、近くの村で宿を」
「野宿します。真っ直ぐ進めば、一日でつくじゃないですか」
「いきなり旅らしいことをするんだね……。森の中で野宿か」
珍しく呆れたような声を出す彼。
そんなに私の言うことはおかしいだろうか。
近くの村に行けば、遠回りになり三日はかかる。
歩く距離は増えるし、日数も使うなら真っ直ぐ進めばいいという考え。