治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


(二)


アウトドアのだいごみは、焚き火だと私は思っていた。


焚き火ぐらいはしたことがある。


いや、小さいころ本見て興味本位での火遊びだけど、旅に出るなら一度はやってみたかったこと。


夜深くなった森の中。
私が住む森とはまた違った風景だけでも目を見張ってしまう。


「枝集め、オーケー。よし、あとは火おこしですね」


適当な石を二つ拾う。
落ち葉を下においてかつんかつんとやっていく作業は疲れても面白い。


ハマりさえするアウトドア。小さいころの思い出もプラスさせるからずっとやっていられそうで。


「ユリウス、火つけたよ」


指一本の魔術(火付け)をした男に石を投げる。


「ちょ、人がせっかくこつこつ火付けをしているのにっ。酷いです!」


「いや、ユリウス。勘違いしているよ。石で火をつけるには、火打ち石という列記とした石があってそこら辺に転がる石じゃつかないんだよ」


「子供のころはつきましたっ。四時間かけて頑張り、やっと起こしたあの温かい炎……!

あの感動を再び再編させようとしたのに、シブリールさんはっ」


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