治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
爽やかな笑顔……殴りたい。でも、おばあちゃんを前にそんなことをすれば驚いて腰を抜かすかもしれないので、拳を握るだけ。
「シルちゃんもめんごいねぇ。ユーリちゃん、いい男めっかってあたしもうれしか」
「おばあちゃん、私たちは付き合ってなどいません。ただ一方的につきまとわれているだけなんですから」
穏やかに訂正しても、にこにこおばあちゃんは照れてるんだねぇの一言。
邪魔をしちゃ悪いと薬を渡したらすぐに帰ってしまった。
「良かったね、ユリウス。シーナさん、君の好きなかぼちゃまで置いていったよ。あ、りんごまである」
「………」
話す彼には何を言っていいものか。
というよりも関わりたくない。
もう関わりたくないないのに。
「アップルパイでも作ろうか。かぼちゃはシチューと混ぜて夕飯にでもしようよ」