治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
彼の真意を私は分かっていた。
連れて行くのは面倒だとも言っていたし、彼があそこに奴らを閉じ込めたのも逃げられないように。
四日もあれば、余裕で警察は奴らを捕まえられるだろう。
もうすぐそこにある街に向かえば、すぐにことは収まること。
へばってはいられないと根性を使っているのに。
「駄目だ、休もう。日があけるまで寝ても悪いということはない」
私の真意が彼にバレてしまった。
腕を掴まれ、無理やりに近場にあった木の幹に座らせられた。
立ったままの彼を見上げれば、目線をそらされた。
「すまない。君が疲れているのは俺のせいだ……」
悲しみがこもった言葉を聞いた。
いきなりすぎて意味が分からないのは当たり前。彼とてそれを承知の上か解説を始めた。