治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


「魔術を使うには体力を使うとは、治癒術を使う君がよく知っているだろう。体力を魔源(マナ)の元素に変換し、より現実を変えやすくするために」


「体力を使うのは知っていましたけど……変換の部分は意識していませんでした」


「この変換は基本、無意識だ。人間がまばたきをするのに意識がいらないように、『そうしよう』となれば『そうなった』という循環が勝手に組みあがってしまう。

もっとも大切な部分は、体力の変換よりも、外の現実への干渉になるからね。

ともかくも、魔術を使う度に人は勝手に疲れていく。高等な魔術師ならば、体力とは他に……そうだな、魔力という専用の“貯蔵庫”を作り上げることも出来るが、今の俺はその貯蔵庫が、君になってしまうんだ」


「私が……。でも、魔術を使ったのはシブリールさんですよ」


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