治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
「普通なら確かに、俺の中にある貯蔵庫が尽きていくが。……俺はあくまでも、君の中の住人だ。
肉体があるから軽視しても仕方がないが、俺は常に君と一心同体。もう一つの意識と見て構わない。
その意識が魔術を使う。となれば、ツケは意識の“主人”に回ってくるんだ。肉体があっても中身が空っぽの半固定体たる俺。魂だけの奴に体力なんか存在しないし、貯蔵庫だって作成出来ない。
……もう、分かっただろう。俺は君に……」
いきさつを話した彼の言葉が止まる。
だいたいの内容は分かったが、一番に重要な部分が、彼が魔術を使えば私が疲れるということ。
その部分に後悔をしている彼が悲しんでいるのがよく分かった。
「あれでもかなり抑えたんだ。炎だってデカいだけの化け物だし、水の発射も人ひとり重傷に出来ないような腐り玉。
あの地の牢獄も、脆いものだ。内側から力をくわえただけでも、すぐに崩れる」