Love....really?
はじまり
静かに響くギターの音。
意味もなく
弾き続ける自分。
その上には
曇った灰色の空。
アタシはいつもこの時間
この屋上に来て
気がすむまで
ギターを弾く。
槙野 心【マキノ ココロ】
高校一年生。
この春入学したばかり。
まだ一ヶ月しか
たっていない
高校生活は
すでに飽きていた。
なんの意味もなく
高校へ来た。
大学になんか
行くつもりない。
夢も
希望もない。
今アタシがしたいことは
ギターを弾く。
ただ
それだけ。
ギターの純粋な音色は
冷えた氷のような
心【アタシ】を
癒してくれる。
温めてくれる。
でも氷は決して
溶けることはない。
幼い頃から
少しずつ
少しずつ
冷えてきて
完全に固まった氷は
簡単には溶けない。
響き渡る癒しの音色を
少しずつ消していく。
完全に消えたあと
しばらくぼんやりと
空を眺めた。
灰色の空は
汚れて見えた。
自分とどこか
似ている気がした。
そしてアタシは
教室へと戻った。