Love....really?
弾き終わった後
自分の表情が
いつもより
揺るんでいるのが
わかった。
「アンタ…
才能あるかもね。」
彼は少し
驚いたように
アタシを見る。
「このギター…
弾きやすかった。」
「手入れは
絶対かかしてない。
良い弦を選んで
使ってる。」
ギターをそっと返す。
「ねえ、なんで
ギター弾くの?」
アタシの問いに
「弾きたいから。」
当たり前のように
彼はいった。
「アタシも同じ。
弾きたいから弾く。」
彼はアタシを見てまた
笑った。
さっきとは違う
皮肉な笑い方で。
「いや、俺はアンタと
全く同じではない。」
そう言った彼の目は
冷え切っていた。
また沈黙になった。
アタシは何も考えて
いなかった。
ただ、ぼんやり
彼を見つめていた。
すると彼は
立ち上がり
どこかへ行こうとした。
「ねえ」
「なに?」
振り返りもせず
彼は答える。
「名前なんていうの?」
「坂上 水。」
そう呟いて
彼は行ってしまった。