恋するキャンディ~私だけの甘々不良彼氏
レトロな密室で
お爺さんはお客さんとの話に夢中で、そっと二階に上がる私たちには全く気付いていなかった。







二階に上がる階段は、すごく狭い。

しかも、足の踏み場が私の足でギリギリ。当麻くんは、足首を横にずらしながら上っていた。

「…落ちて来ないでよぉ?」

「慣れてっから」

器用にヒョイヒョイのぼりつめると、上から私を引き上げてくれる。

「ふぅ…。お爺さん、よくこの階段のぼるねぇ」

「普段こっち使わね~から。裏から二階に上がってる。

…ガキん時はこのサイズがちょうど良かったんだけどな。確実に設計ミスだな」

当麻くんはハハハと笑いながら、細い廊下を歩いていく。



一階もレトロ…なら、二階もレトロ。襖に障子に畳和室。古旅館みたいな雰囲気。

夜…怖そ。

「あ、今汚ねぇなって思った?」

「えっ!?思ってないよっ」

ヤバ。

ちょっと思った。



「ごめんな。オレからしたら、これが普通だから。この汚さが…ホッとする」

当麻くんは微笑むと、指で私の頬をそっと撫でる。



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