恋するキャンディ～私だけの甘々不良彼氏

「おい、さや…」

当麻くんの声に、ビクッと私の体が震える。

どうしよう。

…帰った方がいいよね。

帰るから、って言おうとすると…当麻くんのお兄さんが私をじっと見ていた。

私に歩み寄ってきて、口の端を少し上げる。




「…なるほどな。どっかで見たカオだと思った。…アレか。流星の妹だよな？」

…へ？

この人

お兄ちゃんを知ってるの？




私がキョトンとしてると、当麻くんが後ろからお兄さんを思いっきり殴りつけた。

「ぐふっ…、当麻…お前…」

床に倒れ込むお兄さんをよそ目に、当麻くんは私の手を取り歩き出す。





「ちょっと…当麻くん？痛いよぉ」

私の顔は見ず、険しい顔をして入口へ向かう。

入口まで到着すると、私をエレベーターの中に押し込んだ。

「今日は…帰れよ」

そりゃ…帰るケド。




当麻くんとの別れ際は、こういう感じが多いな。

わだかまりが残ったまま…

そのまま、サヨナラ。


「じゃあね…」

「おー」