恋するキャンディ~私だけの甘々不良彼氏
うわ…。うわ。

すごいトコ、見ちゃった…。

「い…けないんだぁ~…」

「…れ。さや、全部、見てた?」

「…うん」

コクリと頷くと、当麻くんはバツの悪そうな顔をして、意外にも少し頬を染めた。

黙ってしゃがむと、側にあったティッシュで唾を拭き取ってる。

「あ~、最悪じゃん。カッコつけたのに、カッコ悪いなオレ」

「当麻くん。とりあえず…行こ」





松葉杖の側にまわり、当麻くんを支える。

当麻くんは…

普段鍛えてるから私の介助なんて必要ないんだろうけど

少しでも力になりたいの。





さっきのおばさんの言葉の端々に出てきた、両親とのしがらみ。

きっと…

そういう事で、ずっと苦しんできたんだ。





談話室に入り、さっきの女性が立ち去るまで、ここで過ごす事にした。

「当麻くん…辛い事があったら、何もかも私に話してね。力になれないかもしれないけど、話すだけで救われる事もあるから」

こんな言葉じゃ当麻くんは心を開いてくれないとは思ってたけど案の定、

「ん…。さっきのなんて、大した事じゃねーから」

って、かわされてしまう。


< 250 / 390 >

この作品をシェア

pagetop