恋するキャンディ~私だけの甘々不良彼氏
「て…」

て…?





絹川くんは空気を掴むかのように、震える手を伸ばすと、歯を食いしばりながらやっとの事で体を少しおこす。

「てめぇ…、絶対オレのもんにしてやるからな」

ゾクゥッ…





そんな殺気立って言われても、全然色気ないし、怖すぎだよ~っ!

その気があっても、一瞬で冷めるってば…。




うわ、やっぱり現役ヤンキーだ。

ど…うしよう。このまま帰っちゃおーか。



…って、思ってる時だった。






「あ~れれっ?当麻ぁ、何やってんのさ」

背中越しに、

やたら明るい声が聞こえてくる。





あ…

この声。





振り向くとそこには、

入学式の時の…

あの歯のない先輩が、制服じゃない姿でフラフラ私たちに近付いてくる所だった。



う…

また苦手な人が一人増えた。




「天…、手ぇ貸して」

「当麻、どしたん?顔色悪いなっ」

絹川くんは、天と呼ばれたあの彼の手を借り、のっそり立ち上がる。


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