君を僕の好きにさせて貰います(短編)
***
うぇーん。うぇーん。
5歳の苺の頬を伝う涙はキラキラと輝いていて、
砂場を横取りした健太くん達をムッとさせた。
泣いてやがんの泣き虫男ー!!
ベーっと健太くんは舌を出して砂場の横で泣く苺に砂を投げる。
茶色い砂が散らばって
やめてよ!という苺の口の中に入ってしまった。苺の口の中で砂がジャリジャリジャリジャリ
気持ち悪さにまた泣き声の音量が大きくなった。
ちょっとあんたたちー!!
勇ましくやって来て、苺の前に出たのはヒーローじゃなくてヒロイン
女の子のマカだった。
苺にしたらヒーローで、ヒーローの登場に泣くのをやめた。
ゲッ、マカだ
健太くん達は罰の悪そうな顔をして持っていた砂を砂場に戻す。
マカには逆らえなかった誰も。マカは僕らのマカだったから。
私の苺に何してるのよ!!
でも僕はマカの僕だった。傍にいれるのならなんだって良かった。
マカの僕で僕のマカならそれで良かった。
だから僕はいつもマカの金魚の糞だった。