secret garden
ふぅ

出会い

さわさわさわさわさわさわ…
いっぱいの月見草が揺れて、ぼくを見ていた。
ぬるい風がぼくのほほをなでて通りすぎていく。
ぼくの薄茶色の髪が風に揺れてさわさわ鳴った。
もうずっとそこに座っていた。遠くの方でプヮァンガタンガタンと電車の走り抜ける音がする。
ぼくはどれぐらいここにいるのかしら。
細い細い三日月が弱い光を放ってぼくを見下ろしていた。小さな星たちはキラキラ瞬いていつの間にか一つ二つと消えていった。
もうすぐ朝がやってくる。
ぼくを悩ます朝が。

ぼくは夜が明けきらないうちにいそいで帰らなければならない。
走って走って家に帰り、ぼくのベッドに潜り込む。
それからママが起こしにくるまで短い睡眠を貪る。
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