TeFU TeFU ~蝶の媚薬~
寂しそうな顔をするゆず波を横目に、呼ばれた部屋へ向かった。
『失礼いたします。桜花でございます。』
「入れ。」
襖を開け、頭(こうべ)をあげると窓に肘をついた男が一人――…
この部屋は最も高い所に位置する。だから下々の店の灯りがポツポツと見える。
側に寄り、酒をついだ。
すると、お前も飲めとばかりに、酌された。
黙ってそれを飲む。
幾松様は一向に此方をみない……
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