神への挑戦

大きな暴動が起きれば、死人が出るのも十分あり得る。そして、警察官がいないジャッジタウンは、暴動を止める手段がハッキリ言ってない。

だから、ケンカで生計を立てる方式などを採用しているのだ。

カツアゲを肯定する事により、不良の尊厳を訴えかけ、タイマン以外のケンカはある意味ご法度にするのだ。無理にダメとは言わないが、元々不良と言う人種は、自尊心が高いので、そういった操作は簡単なのだ。

不良の聖地なのだから、本物の不良を目指せ…。それが、このジャッジタウンという場所での最高のステータスになり、行く行くは『マスター』という特別な役職に繋がるのだ。

無法地帯に見えているジャッジタウンだが、実際は雁字搦めの法律で固められていると言っても、過言ではないだろう…。

「…つまり、タケシの親父が、その敵側の人間だったって話なのか？」

ハヤトはミツハルの説明を聞き、確信めいた事をミツハルに聞いた。

「…そうだよ。タケシの父親は、国会議員なんだ。立場的に、前田さんと敵対している野党の政治家なんだ。そして、先の動乱の首謀者でもある…」

ジャッジタウンが、外からの圧力を受けたのは、最近に始まった事じゃない。三年前に受けた圧力も、物語の一つに過ぎないのだ。

「…何で早くそれを、俺に言ってくれなかったんだ？ミツハルは、３年前のあの時から、すでに知っていたんだろう？」

「まぁね。でも、知ってても話せない事もあるんだよ。実際、タケシはその事を知らないと僕は思っていたからね…タケシの友達であるハヤトには、この事を伏せておこうという話になったから、言わなかったんだよ。今まで黙っててごめんね…」

ミツハルは、電話口でハヤトに謝った。ハヤトはその言葉を聞き、少しの時間黙り込むと、再び口を開く。

「…いや、別に謝る必要はないさ。良く考えたら、中学生だった俺にそんな話は出来ないわな…でも、何でタケシはその事実を知ったんだ？タケシの行動を考えても、あの病院に入院したすぐに、その事実を聞いたとしか思えないんだが」