神への挑戦
「いやぁ、結構楽しいもんですね!あなた達に偏見を持っていた自分が情けない!」

「あら嬉しいわ。楽しんで頂けて何よりです」

カズミの店に来て、はや二時間の時が経とうとしていた。ジャックは勧められるがまま、酒を飲み、今は完全に泥酔している状態だった。

つい二時間前のジャックの様子が嘘の様に、今は店の女の子?と一緒に楽しい酒を飲んでいる状態だ。

「あらら…完全に酔ってるなジャックの奴」

エースは事の展開を見守りつつ、自分のペースで酒を飲んでいた。

「若いうちは、ああやってお酒を楽しむものよ。エースの飲み方は、年を取ってから覚えればいい飲み方…少しは彼を見習ったら?」

カズミはエースの隣で開いたグラスの酒を注ぎながら、エースに話しかける。

「俺も出来ればジャックみたいに飲みたいけど、今日は止めとくよ。まだ肝心な話も出来ていないしね…」

エースはこの店にある目的があって来ていた。それはこの店に入る前に、ジャックに言っていた、他の分野で繁盛しているとうい理由と同義。

「あのことね…もちろん『情報』は集めたわ。そろそろ仕事の話に入る?」

カズミの裏の顔…それは裏業界の情報だ。情報と言っても、カズミが自身の脚で見つけてきているというよりも、カズミの生活の過程で手に入っている情報。

「出来ればそうしたいな。ジャックもそろそろくたばりそうだしね…」

「解ったわ…ここ一ヶ月の暴力団関係の麻薬の流れなんだけど、少しまずい事になっているみたいなの」

エースがカズミに頼んでいた事。それは、ここ最近の未成年の麻薬の密売に、暴力団がどう関係しているかという事だった。

「最近の未成年による麻薬の密売が活発になっている事は、私も耳にしていたわ。そしてそれが原因で、日本各地の暴力団が警察の餌食になっているという事もね…」

「警察の餌食か…」

エースは何か考えるような素振りをし、カズミの話に耳を傾けていた。

「捕まった未成年は、警察の事情聴取でどんどん口を割っているらしいのよ。そしてその後を辿ると、色んな暴力団に行きつくわけ…けどその未成年と暴力団には何の接点もなかったのに、未成年の証言で、次々と家宅捜査をされているって話よ」
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