神への挑戦
カズミの話では、未成年と地方暴力団には何の接点もなかった。だが証言が出た以上、警察も暴力団が関係していると見て、捜査に身を乗り出す…。

「おかげで暴力団の麻薬取引が困難な状況が今は続いているらしいの。それもこれも全て、最近の未成年による麻薬の密売が原因ね…」

「そうか…何となく話が見えてきたな。ありがとうカズミさん!これはほんのお礼だよ…」

そう言うとエースは着ていたコートの内ポケットから一枚の封筒を取り出し、カズミに手渡す。だがカズミはその封筒を見ると、小さく首を振り、封筒を受け取る事はしなかった。

「友達からお金を取る様なアコギな仕事はしてないの。それにこのぐらいの情報なら、簡単に手に入るしね…」

「そっか…」

エースは無理に封筒を手渡す事はなく、出した封筒をまたコートの内ポケットにしまった。

「そう言えば明日はどうする気なの?こんな遠くまで私に会う為だけに来た訳じゃないんでしょ?」

確かにこの程度の話なら、携帯電話だけで用が足りる話だ。新幹線や電車を乗り継いでわざわざ来る様な手間をさく必要はない。

「まぁね…もちろん『あそこ』に行くのが目的で来たのさ。悪ガキの事は悪ガキのプロに聞けってね」

向かいの席でバカ騒ぎしている相棒に、困った表情をしながらエースはそう言った。









次の日、エースは駅の近くにあるレンタカー会社で車を借りると、車でとある場所に向かっていた。ジャックは助手席で、お茶を貪る様に飲みながら、不思議なげっぷをしている…。

「相変わらず酒の加減を知らないんだから。昨日の事覚えてる?」

エースは隣で白を通り越して青くなっている相棒に、苦笑の声をかけた。

「あんま覚えてない…昨日は悪かった」
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