神への挑戦
車で走る事、一時間が経過した頃、ジャックの気分も幾分かは良くなった様で、エースに問いかけていた。

「ここは、社会に切り離された夢の国…ってところかな」

「なんだそりゃ…俺はそんな抽象的な意見を聞いている訳じゃないんだ。もっと解り易く言ってくれ」

ジャックの言いたい事は解っていたのだろうが、エースは話をはぐらかす様な発言をした。だが、ジャックはエースの言い回しを気にする事なく、突っ込んで聞いてくる。

「俺はこの国の内部事情に興味はないが、自分の仕事の範囲の正確な情報は手に入れときたい…たとえそれが、身の危険を冒す情報であってもな」

行き過ぎた情報は時に、自分の身に危険を及ぼす事がある。それは、情報収集が主な仕事のジャックには、その事がよく理解出来ていた。

「そうかい…まぁ別に身の危険を冒すような情報じゃないんだがな。ジャックも名前ぐらいは聞いた事あるだろう…ここがあの『ジャッジタウン』だ」

エースの言葉にジャックは驚いた表情をしていた。それも無理はない…このジャッジタウンという場所は、ネット上でもかなり有名な場所だからだ。

別名『不良の聖地』と呼ばれるジャッジタウンは、国の法律など関係ない場所で、暴力が全て正当化される、未成年の楽園と呼ばれている場所だ。

「ここがあのジャッジタウンか…なるほど。エースは、この場所に犯人が潜んでいると考えているのか?」

確かに、未成年の麻薬の密売の経緯を考えると、この場所は最も怪しい場所だ。暴力と麻薬は密接な関係を持っているし、噂通りの未成年しか住めない町だとしたら、こんなに都合の良い場所は無い。

ジャックは頭の中でそのような事を考えていた。
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