神への挑戦
リビングに姿を現した銀次に、リビングに居た全員の視線が集まる。

銀次はそんな事などお構いなしに、リビングの中の様子を見て状況を察した様だ。視線を厳しいものにすると、後ろの方に呼びかける。

「ドラゴンっ!そっち任せて良いか?」

「良いっすよ!こっちは俺一人で十分っす!」

どうやら銀次は一人でこの場に来た訳ではないようだ。確か、30人ほど居た男達を前に、一人で十分と言い張るドラゴンという銀次と一緒に来た男。ジャックは目の前の光景を信じられない表情で見ていた。

返事を聞いた銀次は、リビングのドアを乱暴に閉めると、ドカドカと足音を響かせながら入ってくる。

「誰だてめぇコラっ!ここがどこだか解ってきてんのか?」

室内に居た男の一人が銀次に殴りかかった。銀次はそれを視界に捉えると、目にも止まらぬ速さで男に上段蹴りを放った。

その蹴りは見事に男の顔面に当たり、男は後方に激しく吹き飛ぶと失神した様で、ピクリとも動かなくなる。

「知らねぇよ。興味もねぇ…」

男がマンガみたいに吹き飛ぶ様子を見たこの部屋の男達は、少し銀次から距離を置くと、手に携えていたドスを構え、銀次の様子をうかがいだした。

「俺の仲間に手を出した時点でお前等は死刑だ。覚悟しておけよ?」

手の骨を鳴らし、不敵に笑顔を見せる銀次の表情は、この場に居たジャック達以外の男達に戦慄を覚えさした。暴力を生業にする男達の嗅覚が、この金髪の男の力を如実に感じさせたのだ。

だが状況は、最悪と言っても良い状態だ。何故なら…。

「てめぇ動くなよ?少しでも動いたら、この刀を振り落とすぜ!」

ランは敵の手中にあるのだ。ジャックは捕まってはいないものの、ドスを構えた男がいつジャックに襲いかかってもおかしくない状況だ。

銀次が一人登場したところで、状況がそう簡単に変わる状態ではなかった。

「ふーん…やってみろよ」

銀次は突拍子もなく、とんでもない事を言い出した。

「…出来ないとでも思ってるのか?」

当然日本刀を持った男が、眉間に青筋を立て怒った表情をする。
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