神への挑戦
途端にリビング内の空気が殺伐としたものになる。だが銀次は、この空気の中、億する事なく平然とした表情をしている。

「お前なら出来るだろうな。けどそれは、ランに対しての行為って意味だ…後に自分の身に同じ事が降りかかると考えると、お前は出来なくなる」

「どう言う意味だ?」

銀次はそこまで話すと、形容しがたいオーラを身に纏った。実際にはそんなもの有りはしないものの、そう感じざる得ない程の重々しい雰囲気を醸し出す…。

「…それをやったらお前を殺すって言ってんだよ」

これは銀次の土俵。暴力こそが全てのこの状況は銀次にとって何事にも代えがたいぐらい好都合な状態…。

どんな状況下で、どんな不利な状態であろうが、圧倒的暴力の前には…。

全ての策が徒労に終わる。

「俺を怒らすとどうなるか、お前等に教えてやるよ」

銀次がそう話した数秒後…。

この場に居た全ての人間に、恐怖の記憶が刻まれた。









椎名製薬工業本社。

日本全国に5000人を超える従業員を抱えているこの会社の本社は、非常に大きな建物だ。会社が大きくなるにつれ、支店や従業員が増えたこの会社は、名前こそあまり知られていないものの、高い利益を出している会社である。

そしてこの本社は、新しく建てた社屋で、総工費1000億を超える費用で立てられた建物である。

マサとシンに連れられ、椎名製薬工業の本社に到着してハヤトは、電気が灯っていない大きな回転入口の前まで来ると、マサが口を開いた。

「そっちは開いていないから、こっちから入るよ」

回転入口の横に、もう一つドアがあり、そちらの方にハヤトを誘導するマサ。ハヤトは何も言わずにマサやシンに着いて行く…。
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