神への挑戦
エースの熱弁が続くなか、運転手がゲートの入口にある駐車場に車を止め、エース達に説明を始めた。

「ここより先は、徒歩になります。係員には話が通っていますので、入口に居る係員に名前をおっしゃって頂ければ、中に入る事が出来ます」

「解ったよ。ここまでありがとうね…色々とさ」

エースの色々という言葉に運転手が苦笑いを浮かべる。ジャックは、エースが何の事を言っているのか解らなかったが、特に気にしている様子はなく、車から降りると、ゲート前の入口の方に視線を送っていた。

「俺達、本当にこの先に行けるのか?何か得した気分だぜ…」

先ほどのエースの話を信じているのか、ジャックは早くも興奮を隠しきれない様子で、子供の様な表情をしている。

「でもこれは仕事だからなジャック。下手な詮索はしないで、俺達の仕事にだけ集中しよう」

ここまで来て、嘘がバレるのは面白くないエースは、ジャックに下手な詮索はしないよにと釘を刺していた。どうやらエースは、この嘘を貫き通す気でいるようだ。

「なるほど…確かに、成功報酬2000万の仕事の方が大切だな。俺とした事が、変な邪念に取りつかれていた様だ」

良い意味でも悪い意味でも素直なジャックは、エースの言葉にまんまと騙され、言いくるめられていた。

二人はゲートの内部に入り、案内されるがままそのゲートを抜ける。すると目の前には、ある意味見慣れた光景が広がっていた。

「ここは…?」

「ここは、ジャッジタウンの複合地区と呼ばれている場所さ。さっき居た場所が高校生地区で、他にも中学生地区があるんだけど、ここはジャッジタウンでも特別な場所なんだ」

ジャッジタウンの複合地区。ここは、ジャッジタウンでも特殊な場所で、入れる人間が限られている場所なのは、さっきの厳重なゲートを見れば解るだろう。だが…。

「俺には、どこら辺が特別なのかが分からないんだが…」

ジャックは複合地区の風景を見ながら、そう呟いた。
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