神への挑戦
「プライベートもあったもんじゃねぇや…まぁ、今回はその『念のため』に助けられたから文句は言えねぇけどな」

別にやましい事なんてねぇしと、言葉を付け加えた後、ジャックは自傷気味に笑うと、疲れた体を少しでも癒す為に、ドラゴンには悪いと思いながらもジャックは、浅い眠りに落ちた…。

ドラゴンはそんなジャックを起こさないように、安全運転で車を病院に向け走らせた。







椎名製薬工業本社ビル前には、多くの報道陣と警察が押しかけていた。前代未聞の大事件が起きているので、各テレビ局はもちろん新聞記者や、時間を持て余している野次馬などなど、本社の前は人でごった返していた。

事件の内容は立て篭もり事件だ。だが、この会社が椎名製薬工業の本社である事から、先ほど起きた椎名製薬工業の工場襲撃事件と関係しているのは誰が見ても明白である。

それに加え、今回の事件の大半が未成年の犯行の可能性が非常に高いという話題性は、たくさんの人をこの会社に引きつけた…。

そんな中、警察官に混じり、警察関係者しか入れない区間で、小奇麗なスーツに身を包んだ白髪混じりの男が事の成り行きを見ていた。

その男は、自分の携帯電話を取り出すと、携帯を見つめ、何やら周りの様子を見回した後、とある人物を見つけその人物に近づいて行った。その人物は立ち入り禁止区域に入ろうとしているのだが、警官に止められ困った様子で白髪混じりの男を見つめていた…。

「私の知り合いだ、通してやってくれ」

白髪混じりの男が警官にそう言うと、警官は綺麗な敬礼を返した後、止められていた人物を立ち入り禁止区域に通した…。

「小宮さんがここに居て助かりましたよ。どうしたもんかと困っていたんですよ…」

「容易い御用だエース。やはりこれは、『彼等』の仕業なのか?」
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