神への挑戦
男の首は後ろに180度曲がり、鈍い音が通路内に響き渡る。その状態をキープした体勢でジンは、右手で構えていた拳銃で目の前で動揺している男達に拳銃を発砲した。

一人に二発連射で撃ち、的確に頭を打ち抜くジン。電光石火とでも言える速さで3人を撃ったジンは、足で押さえていた男を放りだすと、もう一丁の拳銃を片手に構え、弾を使いきった拳銃の弾を込めだす…。

その光景の一部始終を見てしまったハヤトは、その場で固まってしまう。

10秒もかからない速さで4人の男の命を奪ったジン。一人目は両足だけで首の骨を折り殺害。他の三人は外した時の事を考え、二発連射で確実に頭を打ち抜き殺害した…。

辺りは血の匂いが充満し、吐き気を催すぐらいの凄惨な光景が広がる。

「殺さなきゃ殺される世界だよここは。躊躇した奴が死ぬのさ…覚悟を決めなよハヤト」

弾を込め終わったジンは、後ろを振り返りハヤトに視線を送る。ジンの表情は先ほどの残虐な光景を演出した男とは思えないぐらい清んだ顔をしている…。

「足が震えてるよハヤト。気をしっかりと持つんだ…そして前を見ろ。余計な事は考えるな。目的を遂行する事だけ考えて、行動するんだよ…」

ジンには覚悟がある。死ぬ覚悟も殺す覚悟も…。

先の事など考えていないのだから。今日この日の為に生きてきたのだから。

ハヤトとは覚悟が違った。それが如実に結果として出ている。

だが、ハヤトの反応こそが正常なのを忘れてはいけない。ケンカに明け暮れていたとはいえ、平和ボケしたこの日本で、銃殺される人間を見る事など普通に生きていればまずあり得ない。

今まで生きていた人間が、一瞬で絶命した姿を見て、正常でいられる方が異常であるのだ。
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