神への挑戦
「ハヤトか?ハヤトは多分あのビルの中だ。ジンに会う為にあのビルに行ったって俺は聞いたぜ」

ドラゴンは、コンビニの前に備え付けてある灰皿の場所に行くと、タバコを銜えながらそう答えた。予想外のドラゴンの返答に、ヒサジは頭痛にも似た感覚を覚える…。

「ウソだろおい…何でまたジンがあそこに居るんだ?てか、この事件を起こしたのは、あのジンなのかっ!?」

「そうらしいぞ。詳しい事は知らないが、ミストって組織が関係しているらしい…どうもその組織の首謀者がジンって噂があるぐらいだからな」

少し離れた場所で未だに騒動になっているこの事件に、ジンが絡んでいる。それは、ヒサジにとって最悪の知らせになった。

いくら未成年だと言っても、これだけの大事にまで発展したら、ごめんなさいで済むはずがないし、事件に無関係だとしても、ハヤトも無事に済むとは思えない。

十二分に懲役刑にされる可能性がある。ジンはもちろんハヤトも同じく…。

「言っておくけど、ハヤトを助け出そうとしても無駄だと思うぞ。あれだけ警察が厳重に固めていたら、ネズミ一匹入る隙間も絶対にない…逆もまた然りだ。ミストの連中は何を考えているのか知らんが、こんな町中で籠城決め込んでいる。もしかしたら身代金でも要求する気なのかもな」

エースや銀次の下調べで、その可能性がほぼないのは間違いないのだが、現状で考えられる事はそれぐらいだった。人質を取り、籠城をする目的などたかが知れている。

あって金銭かストライキの類だ。だが未成年が主犯のこの事件で、集団ストライキなどあり得ない。

なので目的が金銭以外は考えられないのだ。

手元にある情報が少ないドラゴンの考察はこんなところだった…。
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