神への挑戦
ハヤトは敵を殺さずに気絶させる事を選んだ。それはハヤトの出した一つの結論である。

どんな状況になろうと、俺は人を殺さない…。

人を殺さなくてもどうにか出来る方法はいくらでもあるのだ。ハヤトはその方法を体現したと言っても良い…。

拳銃は必ずしも人を殺すためだけの武器ではない。それを使う人の意識次第ではどうにでも使えるのだ…。

ハヤトは敵を倒した事により、自分の意識をしっかりと取り戻したようだ。

誰であろうが絶対に人は殺さず、その代わりにタケシは死ぬほどぶん殴る…。ただし、タケシがバカな考えをしている場合に限りではあるが。

ハヤトは目の前で気絶している男の姿を改めて確認した。

「黒いスーツに黒いシャツを着た男か…うん?」

ハヤトはこの男の不自然な格好をどこかで見た気がしていた。それもかなり最近…。

「あっ…ジンとリュウの格好と同じだ」

不自然な格好だとは思っていたハヤトだったが、改めて聞くほどの事ではないと思って、ジン達に聞きはしなかったが、この男はジン達と同じ格好をしていた。

この男だけではない。先ほどジンに惨殺された男達もジン達と同じ格好をしている…。

「…なるほどな」

何となくジン達の格好の意図が読めたハヤト。

「そう言う事だ。この格好は、潜入をばれづらくする為の服装なんだよ」

ハヤトが思案にふけっていると後ろから声が聞こえてきた。後ろを振り返ると腕を組んだリュウが、目の前で倒れている複数の男達に視線を送る。
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