神への挑戦
「リュウ…本当にこんな事でカモフラージュ出来るのか?」

「ジンの話だと問題ないそうだ。少しこの場で隠れ、時間を経過させてから出れば大丈夫らしい」

リュウと合流したハヤトは、倒した男を片付け、とある場所に潜伏していた。その場所は更衣室の様な場所で、ジンやリュウが来ているスーツの替えも置いてある場所。

ハヤトはそのスーツに着替えると、リュウと二人でこの更衣室の中に隠れていた。

「それにしても、睡蓮会本部の警備って結構手薄なんだな。入口に居た男達はそれなりの数だったのに…」

ハヤトは自分の置かれている状況を考え、そう言葉を漏らした。確かにあまりにも警備がお粗末だと言わざる負えない印象を受ける睡蓮会本部の警備体制。

入ってすぐに奇襲の様な攻撃は受けたものの、その奇襲を切り抜けると、追撃の人間が来る事がなかったのだ。ハヤトの身に起きた出来事も、一人の人間が応戦に来ただけで、それ以外は誰も来ない。

どうにも解せない展開だ。

「手薄…と言うよりも、この場所は襲撃を受ける事など想定していない場所だからだろうな。この施設に入ってから、監視カメラの類がない事に気付いていたかハヤト?それが答えでもあるんだ…」

「監視カメラ…確かになかったかもしれない」

「実際ないんだよこの場所にはな。入口の警備を厳重にし、この施設にたどり着く道筋に監視カメラを置いておけば、この本部に監視カメラを設置する必要性がないからなんだよ…」

確かにこの本部に潜入する為には、多くの障害があり、ジンの様な大がかりかつ大胆な作戦をノーミスでクリアしないと、この場所に辿り着く事などまず不可能に近い。

それらを考えると、この施設の内部にまで監視の目を行き届かせる必要性はないに等しい。

「なるほどな…一回本部に潜入し、変装をしっかりとすれば、本部の中をある程度自由に動き回れる事が可能になるのか」

「そういう事だ。俺達ミストの睡蓮会潜入作戦は、これである程度完結になる。他のメンバーは俺達の注意を引く誘導するメンバーを何人か残し、後は椎名の本社に向け、進行を開始させた…そしてこれからが第二作戦に移行になる」
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