神への挑戦
ハヤトは、ミストのメンバーを下げさせた事に驚きを見せる。ジンの目的は睡蓮会の本部を壊滅させる事にあると思っていたからだ。

ハヤトの中では、安全なルートを確保したのちに、椎名製薬の本社に居る兵隊を集め、襲撃をかけるという作戦だと勝手に思っていたからだ。

「第二作戦…一体お前等二人で何をしようって言うんだ?」

「…それは自分の眼で確かめな。それに人数が多ければ良いと考えるのは、少し浅はかだぜハヤト。ジンの頭脳は1000人の兵隊にも勝るんだよ…本気になったジンを止めれる奴なんてこの世に居ないのさ」

確かに本気になったジンは恐ろしいとハヤトは感じていた。

冷徹無慈悲な攻撃力に、冷静沈着聡明な頭脳。この作戦で、手段を問わない手腕を見せたジンは、目に見える亡霊にも似た恐ろしさを持っている。

「…ところでジンは大丈夫なのか?離れてから結構時間が経ったが…」

ハヤトを置いてさっさと先に行ってしまったジン。確かに、安否がどうなのかは気になる所だ。

「ジンなら大丈夫だろう。目的を達するまでは…な」

「俺は是非ともその目的を知りたいんだが…どうせ話す気もないんだろう?」

リュウはハヤトの質問に意味深な笑顔を返すのだった。

「さてと…そろそろ行こうかな」

相変わらず通路からは物音一つしない中、リュウは静かに行動を開始しようとした。

「何処に行く気だ?」

「…施設だ」

「あぁ…会社で言っていたところか」

リュウの施設と言う言葉に思い当たる事があったハヤト。椎名製薬工業でジンがハヤトに語った内容。

それに関係した事柄だ。
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