神への挑戦
麻薬の密売の大半は、外国からの港経由の密輸に頼っていることが多い。飛行機では、テロの影響で、手荷物検査が厳重になっているので、密輸するにはリスクが高いからだ。

そしてそれは、警察も理解している事。だから、港に網を張り、密売人とブローカーの関係を洗おうとしたのだ。

「だがそこで、何個か疑問が残る。警察もバカじゃないから、港を張られれば、そんな簡単に密輸が成功するとは思えない。なのに、未だに解決の目途がたっていないのは何故だ?…それともう一つ」

「港からの大麻に頼っているのなら、なぜこうも広範囲で同時に麻薬の密売が起きているのか…ってことかい?」

ミツハルは、ジャックの考えの先を読み、そう聞いてきた。

「あぁ…しかも、その犯行が未成年だって事に問題がある。全国にいくつものエージェントが居る組織ならともかく、現役の高校生や中学生がなんでこんな行為が出来るのかが謎なんだ。明らかに、大きい暴力団が関係していると考えるのが妥当なんだ」

「だがおそらく、この事件には暴力団は関係していない…」

ジャックの説明に、エースが補足の説明を始めた。

「昨日、カズミさんから得た情報では、暴力団と麻薬の密売をしている未成年と関係がないと言っていた。逆に未成年の少年達は、暴力団と関係を持っていると話している様なんだ…双方の言い分が食い違っているが、俺は暴力団の人間の話しを信じる」

「それは何故だ?」

エースの断言する言葉に、銀次が食ってかかって行った。

「どれも確証がないだろう。暴力団にしたって、関係があったとしても簡単に認める訳ないし、嘘をついている可能性は否定出来ないだろうが」

銀次の言っている事は間違っていない。今のところエースが得た情報は、ジャックの麻薬密売の拠点や経緯の話と、カズミに聞いた未成年と暴力団の関係の薄っぺらい表面の部分だけだ。
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