神への挑戦
この国の頂点に立っていた男なのだから。国の内状を把握していない訳がなかった…。

当然、この仕事を指示したのだから、銀次も睡蓮会については知っているはずだ…。知っていて話さないのは…。

「ハヤトの推測は合っているかどうかは俺には分からない。でも俺にとってジャッジタウンのマスターは、敵と考えていい存在だと思っている…でもハヤトは別だ。君は何者にも分類出来ない何かがある存在だからね」

「…何か……か」

「うん…ハヤトは一度自分の眼で真実を確かめた方が良いよ。全てを自分の眼で確認して、自分で答えを出すと良い。少なくても俺は行動を起こさないといけない理由がある…全てに決着をつける必要がある。ゲンと俺の願いでもある光への解放…アンダーズチルドレンを救出するのさ」

そしてジンは動き出す。正義と悪の両方をもつ組織への帰還を…。






「それじゃ行くか。ハヤトは来るのか？」

「当然だ。俺は自分の眼で全てを確認する…ジンの話した事が真実なら俺はジンの手助けに回る。だが俺はすべてを信用した訳ではない。お前等が本当の意味での本音を俺に話すまではな…」

ハヤトには解っていた事が一つだけある。それはジン達の最終目的が子供達の解放なら、もう一つの目的は何なのかって事だ。

必ずしも目的が一つとは限らないからだ。ジンの事だからまだ隠している事があるはずだ…。

でもリュウは自分からはその目的を語らない。実験の阻止と解放。これはセットになっているので同じと考えても、それ以外にも目的があるはずなのだ…。

ジン自らこの場所に赴く必要がある目的。それがこの事件の真の闇であると…。

そう思ってしまうハヤト。ジンならではの策…。

大将自ら戦場に来る真の目的をジンは語らない。自分が死んでしまえば何もかもパーなのに、それを辞さない覚悟を決めての参戦。

そこには必ず何かがあるとハヤトは肌で感じていた。
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