神への挑戦

「お前等がなんの策もなしに俺をこんな場所に連れてくる訳がない。おそらく俺の事を利用するつもりなんだろ？」

「さぁ…どうだか」

リュウは通路の様子を確認しながらそうハヤトに返事を返す。

「勘違いするなよ。お前等が何を企もうが俺には関係ない…俺はタケシに、こんな場所に居る真意を聞きたいだけだからな。お前等の目的は俺にとってはただのついでだ。ジンの言っていた事が真実だった場合の為のな…」

「そうかい。だったらちゃんと現実を見ておけよ…これから目にする光景は、人の道を外れた光景だらけだからな」

リュウはその言葉を言うと、誰もいない通路に出て行った。ハヤトもリュウの後に従い、通路に出て行く。

通路の様子は時折足音が聞こえてくるぐらいで、慌ただしい雰囲気は感じられない。それにジンが大暴れしている様子もないので、おそらくジンの変装はばれていないのだろう。

リュウは落ち着いた様子で、あたりに視線を送ると、ゆっくりと足を進め出した。

手にはハヤトの持っているタイプと同じ拳銃が握られており、いつでも撃てる様に準備をしている。ハヤトはスーツの懐に拳銃を閉まっており、拳銃を表に出していない。

二人はゆっくりとした足取りで通路を進んでいると、前方から人が歩いてくる気配がした。

「ここは俺に任せろ。ハヤトは俺の会話に合せてくれ」

リュウはそう小さく言うと、歩いているペースを早め、前方から来た人物に話しかけた。

「侵入者は見つかりましたか？」

ハキハキと話す口調でリュウが話しかけると、前方の男はそんなリュウを不審がる事無く、返事を返す。

「まだだ。入口で一悶着あって以来、どこにも姿を見せない。情報では赤い髪の男と、黒い髪の短髪の二人って話なんだが…そんな奴、どこにも見当たらないんだよ」

（赤い髪に、黒い髪？？誰の事言っているんだ？）

「そうですか。俺等も色々と探し回ってはいるのですが、相手も武器を所持していますから、思うように進まなくて…俺達は取り合えず、Ｂ地区の方を探しに行ってみます」

「解った。俺は一度司令室に戻って作戦を練り直すように椎名さんにかけ合ってみるよ…ところでお前等は、どこの所属なんだ？」

ハヤトは頭に？を浮かべながら話を聞いていると、思いがけない質問が飛んできた。