神への挑戦
話しを合わせるにも、合わせようのない質問に、ハヤトは口を塞ぐしかなかった。

「俺達は相馬さんの所の所属です」

そんな中、リュウが質問に答えていた。

「相馬さんの所か。そいつは難儀だったな。今回の一件の責任はおそらく相馬さんの所でとらされるはずだしよ。お前等も貧乏くじを引かされたな」

「えぇ…それでは失礼します」

リュウは話しを区切ると、一礼してその場を後にしようとした。ハヤトもリュウにならい、一礼返すとリュウの後に続いて行く。

「…相馬って誰なんだ?」

ハヤトは小さい声でリュウに話しかける。

「相馬ってのは、この組織の大幹部の一人の苗字さ。睡蓮会の大幹部は、全部で9人居るんだが、いま本部に居るのは、二人しかいないんだ。相馬ってのはその一人で、政治関係の役職をしている男さ…まぁ影なんだがな」

「影?」

ハヤトとリュウは、時折すれ違う人に挨拶をしながら、会話を続けていた。いま居る場所は、複雑に入り組んだ通路をリュウの先導の元歩いていた。

「睡蓮会の大幹部は、この組織が本職ではないからな。表でもちゃんとした仕事を持っているのさ。それも大組織のトップクラスと言っても良い役職を持っているんだ…そして相馬ってのは、政治関係の仕事をしている大幹部の代理なんだ。だから影…影武者ってところなのさ」

二人がそんな話をしていると、随分と開けた場所に到着した。観葉植物などが置いてあるこの場所は、今まで居た場所に比べ、少し明るい雰囲気を感じさせる場所だった。

「ハヤト…ここからがB地区と呼ばれる場所だ。別名『アナザーヘブン』。ある奴等にとっては、天国の様な場所ってところからそう呼ばれているらしい」

先ほどリュウが話していた場所がここ。

アナザーヘブン。

この場所にリュウは用があった。そしてこの場所は、言い方を変えればアナザーヘルにもなりうる場所であった。
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