神への挑戦
軽く見渡したあたり、此処は今までの雰囲気とは異質の空気を醸し出していた。それは、ハヤト達と同じスーツを来ている男とは違う服を着ている人間が混ざっているのだ。

(白衣…?)

違う服とは白衣の事だ。医者や研究員が着る様なそれを着た男達が大勢見受けられる。それもかなりの数だ。

「侵入者はまだ捕まらんのか?」

「敵は銃を所持しているそうじゃないか。死人も出てるとか…」

「ここの警備態勢はどうなっているんだ!今までこんな事一度もなかったのに…なんたる事だ」

どうやらジンが行った事が、この場に混乱をもたらしている様だった。

(まぁ仕方ないな。コイツ等には、殺しを何とも思わない殺人気がこの場所に混じりこんで居るとしか思えないだろうし)

ハヤトはそんな事を考えていると、白衣を着た男の数人が、こちらに詰め寄ってきた。

「そこのキミ!侵入者は捕まえたのか?」

ボサボサの髪の毛に、伸ばしっぱなしのヒゲをたずさえた男が、ハヤトに話しかける。

「まだだ」

「まだだってお前…ちゃんと探さないか!」

淡白な反応をしたハヤトに、男が激昂しだす。

「だから今ここに来たんじゃないか。いきり立つ暇があるなら、お前も探せ」

相手など何処拭く風。表情を変えないでハヤトは話す。それに、目上の人間にタメ口の何のためらいもなく使うハヤトに、男が少し戸惑いを見せ出した。

「ふんっ…それは俺の仕事ではない。お前等の仕事だろうが」

「だったら人の仕事に口出しするな。怖いんなら黙って隠れていろ…」

どうやら目の前の男が気に食わないのだろうハヤトは、眉間に皺をよせ、睨みつける様に言葉を述べた。
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