神への挑戦
確かに、ジャッジタウンが関係ないとしたら、ハヤトがここに呼ばれる理由は何もない様に思える。

「だが、無関係とは言えないんだ。それは、エースがここに来た理由と、俺とミツハルが親父に頼まれた事が関係している…」

銀二はそう言うと、タバコに火を着け、軽くふかしながら答えた。

「俺達マスター側にも、親父から命令が下ったんだ。今回の麻薬取り引きがジャッジタウンの存続に関わる問題に発展しつつあるってな。それは、捕まった人間がこう証言しているらしいんだ。『俺達には、ジャッジタウンの神がついている』ってな…」

「ジャッジタウンの神?なんだそれ…」

ハヤトは、銀次の言葉を聞くと、怪訝な表情をした。

「俺も詳しい詳細まではわかんねぇ。だが、親父の話しでは、捕まった人間にジャッジタウン出身の人間はいないようなんだ。まぁ、俺達も全ての住人のデータを取れていた訳ではないんだがな…まぁ、そんな理由でハヤトを呼んだんだよ。悪く思うな…これも俺達、マスターの仕事なんだからよ」

「別に、悪いなんて思ってないさ。ちゃんとした理由があるんなら、俺も出来る限りの協力はする…俺らも変な疑いはさっさと晴らしたいからな」

そう言うとハヤトは、自分の知っている限りのジャッジタウンの情報を話し始めた。

「銀次さんも知っての通り、今の高校生地区は麻薬の根絶は徹底してやっている。使っている人間は問答無用で隔離しているし、新しく町に来た奴も、麻薬の使用は絶対に認めないと、俺が直々に話を通してある。俺らのルールに従えない奴は、この町を去るだけだからな…ジャッジタウンはある意味、一番麻薬の入手が難しい場所だと俺は思うぞ」

ハヤトが住んでいる高校生地区は昔、麻薬の蔓延が原因で、町の治安が崩壊しかけている場所だ。その時は、銀次の機転のおかげで事なきを終えたが、また同じ状況になる可能性は十分にあった。
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