神への挑戦
その為、ハヤトは中学生地区から高校生地区に入った時から、麻薬の根絶は徹底的にやっていたのだ。

それと臨時とは言え、ハヤトはジャッジタウンの重役が決めたマスターだ。

三年前に中学生地区で起きた、『LAN闘祭』での武勇伝も高校生地区では有名になっていたので、ハヤトは高校生地区に来た時から、敵に回してはいけない人間という認識を皆が持っていた。

そんな過去や、ハヤトの存在もあり、この高校生地区では、ハヤトのする事に逆らう人間はいなかったのだ…。

「そうだよね…それは僕も知っているよ。そして、それはこの町の新しい秩序になっているのもね。でも、僕達が知りたいのはそれじゃないんだよハヤト…僕たちが知りたいのは、この町に居る人間じゃなくて、出た人間なんだ」

「出た人間……なるほどな。ジャッジタウンを出た人間が、何かしらその事件に、関わっている可能性があるって事か」

ミツハルや銀次が危惧している事。それは、ジャッジタウンの名を語り、なおかつジャッジタウンの出身者である可能性はあるという事だった。

結論から言えば、今回の事件はジャッジタウンとは関係ない話である。だが、出身者がこの事件に関わっているとしたら、傍観を決め込むわけにもいかないのが大人の世界だ。

責任問題…部下の不始末で、会社が倒産に追い込まれる事は、よく聞く話である。

それは、ジャッジタウンという不認可な町にも該当する事だった。

「そうだ。俺達は何としてもこの事件の真相を暴く必要があるんだ。今のところ、親父が時間を稼いでくれてはいるが、そう悠長に構えている時間はない…そこで、俺達マスターも、エースの仕事に協力して、同時に事件解決に乗り出す事にした訳だ」
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