神への挑戦
すると内藤は、俺に背中を向けると、自分の背中の首筋の所に指をさした。

「正解は背中だ。刺青の要領で背中の首筋に名前を入れるのさ。それでは何で背中の首筋にネームを入れるのでしょうか?」

内藤はまた俺の方に視線を向け聞いてきた。なぜ俺ばっかり聞いてくるんだこの男は…。

とは言え答えられないのはしゃくなので、一応考える。首筋にネームを入れる利点。

「…確認しやすいようにか?」

「半分正解だな。察しの通り、首筋なら名前の確認は取りやすい利点がある。でもそれなら顔や喉元などの方が名前を確認しやすいと思わないか?」

「まぁ…確かに」

俺もそこは引っ掛かった。自分で答えてあれだが、首筋や腕の方が確認しやすいと思うんだが…。

「背中の首筋にネームを入れる利点。それは子供たちが自分のネームを確認出来なくさせる効果があるんだよ。目で確認出来なければ、子供達はその刺青の個所を自分で確認する事が出来ない。すなわち自分で傷つけてネームが分からなくなる様な事になりずらいのさ」

まぁそれはそうだが。

「他の誰かに見てもらって傷つけられる可能性があるだろう」

「それはごもっとも。まぁ他の個所よりは安全ってぐらいに思ってよ。一番の理由は他にあるからさ」

「他って…」

あと何があるって言うんだ?

そうこう話しているうちに、内藤の先導の元、とあるフロアにたどり着いた。その場所はそこそこ広い空間に観葉植物や4人ほどが雑談できる様なテーブルや椅子が一定の間隔に設置されている場所だ。

簡単に言えば、フードコートみたいな場所だ。

「ここは職員兼子供達の休憩所だ。過度なストレスは体に毒だからな。娯楽が出来る場所ってのも重要なのさ」

内藤はそう説明しながら観葉植物などや、簡易的に設置されている俺の胸辺りまでしかない柵で出来た通路を進んでいく。

「さっきの話の続きな。背中にネームを入れる一番の理由は、背中だと急の事態に陥った時に、メスを入れる心配が一番すくないからなのさ」
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