神への挑戦
メスを入れる事態?

「腕や足だと怪我をする心配がある。それに胸や腹も病気になった時とか、術式を試す時とかにメスを入れるかもしれないだろ?その分背中だとメスを入れる心配が少ないし、自分で傷つけるリスクも少なくなる。それに髪の毛で隠す事も出来るしな。ストレスも比較的感じない場所なんだよ」

な?一番適切な場所だろ?

そんな風に俺に言葉を投げかける内藤だが、もの凄く気になるセリフがさっきの言葉の中に放り込まれていた事に俺は気付いた。

術式って何だ?

「まぁ…そうですね」

俺は侵入者の一人であり、過度な反応を返すのはまずい。そんな事を考えている俺は、自分の脳内で自己解決しようとしていた。

そんな俺を知ってか内藤は、意味深な笑みを浮かべながら俺を一瞥すると、前を向き、進んでいく。

次に案内された場所は、ガラス戸で出来た部屋が、それこそ100部屋はあるのではないかというほど埋め尽くされたフロアだった。センターには管理室なのだろう場所があり、様々なスイッチが多数ある。

フロア自体は、二階までが吹き抜けになっている作りで、見た感じ二階も一階も同じ様な部屋が完備してある様に見える。

「ここはいわゆる居住区って場所かな。子供たちが寝泊まりする場所さ。なんだか監獄みたいな作りだけど、中が丸見えになっている事以外はホテル並みに清潔に保っているよ。一部屋に4人まで入る事が可能なのさ」

なんだか眩暈がしてきた。ビルの地下から睡蓮会本部にたどり着き、その奥にはこれでもかというほどの広大な施設が建っている。

地下鉄とか電線とか配管とか色々とスペースを使っている筈の地下に、これだけの土地を有しているとか…あり得ない。

「地震が来たら終わりじゃねぇか?」

「はははっ。俺もそれだけは心配だよ。こんだけの空間を地下に確保してしまったら、地震で崩れてしまいそうだよね」

いやいや。笑いごとじゃないから。

「でもまぁ大丈夫だよ。一応地震は想定して作っているらしいし」

「らしいって…」

そんな安楽的な考えで良いのか?
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