神への挑戦
ヒサジとサヨ
ハヤトの件が一段落し、マリコとも別れたヒサジとサヨは、電車に揺られ地元に帰っている最中だった。
どっと疲れが溜まっていたのだろう。二人とも顔色があまりよろしくない。
だが二人とも車や電車で寝れるタイプではなかったので、疲れる体を無視し、会話を交わしていた。
「ヒサ大丈夫?明日から学校だけど…」
「ん?大丈夫だよ。そんなに疲れてないしな」
サヨはヒサジの身を案じ、そう言葉をかけたものの、ヒサジは何事もないかの様にそう言うと、笑顔を見せる。
だがヒサジのこの言葉は嘘だった。嘘じゃないとおかしいからだ。
学業とプロのボクシングを両立させているヒサジは、かなり私生活では忙しい。それに加え、昨日はボクシングの試合をこなし、そのまま貫徹しているのだ。
ボクサーの場合、ダメージが残っている時は、睡眠を取らずにダメージが引くのを待つ場合もあるが、ヒサジはあまりダメージを受けていない。
ヒサジの階級を見る限り、減量に苦しむ事はないが、それでも疲れはピークに達しているはずだった。
「ねぇヒサ……これからもボクシング続けるの?」
やはりヒサジの体が心配なのだろう。ヒサジにはヒサジの目的があって、ボクシングをしているものの、サヨはどうしてもこう聞いてしまう。
そしてこの質問はこれが初めてではなかった。
「…実はわかんないんだよな。これから先はよ」
「えっ?」
いつもは続けると断言しているヒサジだったが、この時は言葉を濁した。
「俺も昨日の試合で日本ランカーになっちまったから、今のジムじゃマネージメントが難しくなるだろうなぁと思ってよ。部活じゃないから、そんな簡単じゃないんだよ」
ヒサジが言葉を濁した理由は、まさにこれだった。プロである以上金が付いて回る。そうすると、しっかりとしたマネージメントが出来る人間がジムに居ないと試合が組めないのだ。
だがヒサジが居るジムは、個人でやっているかのような場所だ。しかも東京が拠点じゃないので、これまためんどくさい。
そうした場合、ジムを移籍すれば何の問題はないのだが、そうすると拠点は関西か関東の大きいジムになる。
どっと疲れが溜まっていたのだろう。二人とも顔色があまりよろしくない。
だが二人とも車や電車で寝れるタイプではなかったので、疲れる体を無視し、会話を交わしていた。
「ヒサ大丈夫?明日から学校だけど…」
「ん?大丈夫だよ。そんなに疲れてないしな」
サヨはヒサジの身を案じ、そう言葉をかけたものの、ヒサジは何事もないかの様にそう言うと、笑顔を見せる。
だがヒサジのこの言葉は嘘だった。嘘じゃないとおかしいからだ。
学業とプロのボクシングを両立させているヒサジは、かなり私生活では忙しい。それに加え、昨日はボクシングの試合をこなし、そのまま貫徹しているのだ。
ボクサーの場合、ダメージが残っている時は、睡眠を取らずにダメージが引くのを待つ場合もあるが、ヒサジはあまりダメージを受けていない。
ヒサジの階級を見る限り、減量に苦しむ事はないが、それでも疲れはピークに達しているはずだった。
「ねぇヒサ……これからもボクシング続けるの?」
やはりヒサジの体が心配なのだろう。ヒサジにはヒサジの目的があって、ボクシングをしているものの、サヨはどうしてもこう聞いてしまう。
そしてこの質問はこれが初めてではなかった。
「…実はわかんないんだよな。これから先はよ」
「えっ?」
いつもは続けると断言しているヒサジだったが、この時は言葉を濁した。
「俺も昨日の試合で日本ランカーになっちまったから、今のジムじゃマネージメントが難しくなるだろうなぁと思ってよ。部活じゃないから、そんな簡単じゃないんだよ」
ヒサジが言葉を濁した理由は、まさにこれだった。プロである以上金が付いて回る。そうすると、しっかりとしたマネージメントが出来る人間がジムに居ないと試合が組めないのだ。
だがヒサジが居るジムは、個人でやっているかのような場所だ。しかも東京が拠点じゃないので、これまためんどくさい。
そうした場合、ジムを移籍すれば何の問題はないのだが、そうすると拠点は関西か関東の大きいジムになる。